現地ガイドが解説、メキシコの秘境「セノーテ」とは?

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メキシコ在住ダイバーのやういちです。

最近メディアで取り上げられる事も増えたセノーテ。
でも、カンクン旅行にくるお客様でさえ

「で、実際セノーテって何なの?」

とよくわからないまま来られる方も沢山いらっしゃいます。

そこで今回は、僕が普段から働いているセノーテについて、しっかり解説したいと思います。
僕は2018年4月現在は水中ガイドとしてでなく、水中ガイドの通訳としてセノーテで働いています。
水中ガイドになるには、まだ必要な資格や書類が揃っていない為です...

セノーテとは?超わかりやすく言うと...

カンクン近辺にある、透明度100m以上とも言われる澄んだ水が溜まっている泉。
あまりの透明度の高さに、「光のカーテン」と表現される、美しい光の筋が水中に差し込む美しい光景が見られる。

そのため、ダイビングやシュノーケリングが人気。
世界中からダイバーが訪れる、ダイビングのメッカでもあります。
関連記事:メキシコのダイビングで人気のセノーテ16選を現地ダイバーが詳しく解説【完全版】

セノーテは1個だけでなく、何千もの様々なセノーテが存在します。

セノーテ「ドスオホス」で見られる光のカーテン
セノーテ「チャックモール」の光のカーテン
セノーテ「エデン」
セノーテ「ドスオホス」の水面

...旅行会社風に言えば、こんな感じです。

しかし、この記事ではもう少し詳しく解説していきます。

もう少し詳しく、セノーテとは?

セノーテはマヤ語で「聖なる泉」という意味。

元々は別のマヤ語の単語で「聖なる泉」を意味する単語がありました。
しかし、セノーテがあるメキシコのユカタン半島を征服したスペイン人が聞き間違えた...などの理由により、セノーテという単語に変わっていったとされています。

ただし、実はセノーテは泉ではありません。
一言で言うならば、セノーテは「地中を流れる川」です。

泉なのに川?
なかなかわかりづらいと思いますが、ここから順を追って説明していきます。

潜れる自然博物館?セノーテの地理的歴史。

ここからは、セノーテの成り立ちを説明します。

セノーテのあるメキシコのユカタン半島は、元々はサンゴの死骸や貝殻の寄せ集めの様な土地。
そして大昔(恐竜時代より前)は海のそこに沈んでいました。

ですが、氷河期前の地殻変動(ちかくへんどう)で、海の水位が下がり、このユカタン半島が海の上に現れました。

過去にサンゴの死骸や貝殻の寄せ集めの土地なので、土地が石灰岩でできた土地なんですね。
この石灰岩でできた土地と言うのがポイントです。

セノーテ内で見られる貝の化石。ユカタン半島が大昔に海に沈んでいた証拠。

石灰岩は地盤としては非常に弱くもろい性質を持ち、雨などの水を吸収してしまいます。
結果、雨が降っても地上に水はたまらず、全て地下へ。

水が地下に流れていく過程で、地中の地盤が崩れ洞窟が形成される。
そして、そこに水がたまる事で、地下に川ができたんですね。

また、石灰岩を通ってきた水がしたたり落ちると、氷柱のようになります。
これがいわゆる、鐘乳石と呼ばれる奴です。

セノーテ「ドリームゲート」の鐘乳石群

その後、氷河期が終わり、海の水位が上昇。
雨でできた、地下の鍾乳洞がなんと水の中に沈んでしまいます。

こうして、世にも珍しい水中鍾乳洞が出来上がったわけです。

セノーテ「ピット」の巨大な鐘乳石

そしてその鍾乳洞の天井、つまり地上には年月と共に土が被さったりジャングルが生い茂るようになります。
そのなかで、地盤の弱い石灰岩の天井の一部が崩落。
シンクホールと呼ばれる現象がおきます。

セノーテ「マヤビジャ」 わかりやすいシンクホールで、縦穴のようになっているのがよくわかる。 昔はここは普通のジャングルだったのに、突然ここだけ穴が空き、セノーテとしてアクセスできるようになった。

地盤崩落によって出来上がったシンクホール。
そこからたまたまアクセスできる、地中に流れる川。
それが現代僕らが「聖なる泉」として呼ぶセノーテなんですね。

まとめると、セノーテは

・海に沈んでいた時代
・乾いた鍾乳洞だった時代
・水で満たされた鍾乳洞だった時代

という、3つの別の状態を経験をしています。
そしてセノーテの面白い所は、これらの各フェーズの物的証拠がセノーテ内に綺麗に保存されている事。

海に沈んでいた時代を表すのは、大昔の貝やサンゴの化石。
乾いた鍾乳洞だった頃に成長した巨大な鐘乳石。
(鐘乳石は、水がしたたり落ちる事によって形成されるので、洞窟内が乾いた状態でないと鐘乳石は成長しない。つまり、鐘乳石の存在はその洞窟が過去に乾いていた証拠となる)

その頃は人類の祖先もセノーテ内住んでいたとされており、アメリカ大陸最古の人類の化石もセノーテから発掘されています。またこの時代に生きていたとされる巨大な哺乳類の化石も見つかっています。

そして水で満たされた時代には、マヤ人たちの生贄の儀式の跡などが見つかっております(詳しくは後述)

今では多くの地理的・歴史的に価値のある物は自然博物館などに収められていますが、セノーテではあるがままの状態を見る事ができます。

まさに、潜れる天然の自然博物館の様な場所なんですね。

マヤ文明全盛期、"いけにえ"を投げ入れた?セノーテの文化的歴史。

セノーテの価値は、地理的な側面だけではありません。

スペイン人がユカタン半島征服を始めた1500年頃まで、この地はマヤ文明が栄えていました。
そのマヤ文明において、セノーテは聖なる地下世界への入り口とされていました。
そして、セノーテの水はマヤ人たちに生活水から飲み水まで全てに利用されており、まさに命の水。
セノーテは聖なる場所でもあり、そして生活に欠かせない場所でもあったんですね。

マヤ人たちはセノーテを"神が住む場所"として特別に扱いました。
その為、この地で干ばつなどが起こり、人々が苦しんだ際には
「セノーテに住む水の神が怒っているから、こんな災害が怒っているに違いない!」
と当時の人々は信じます。

その結果、何か災害が起きたり儀式の際に、セノーテにはたくさんの生贄が投げ込まれていたとされています。
その証拠に生贄だったであろう人々の骨や、生贄に塗られた塗料や、共に沈められた神聖な陶器などがセノーテ内部からたくさん見つかっています。

どこにあるの?

メキシコのユカタン半島という、メキシコ最西端に位置するエリアに点在しています。

ただ、ユカタン半島と一口に言っても広い。

多いのは、プラヤデルカルメン・トゥルム周辺です。

プラヤデルカルメンとトゥルムは車で1時間ほど離れた距離。
その周辺に何百ものセノーテが点在しています。

ユカタン半島エリアには何千ものセノーテが点在しています。
よく日本ではセノーテは一個しかないと思われてますが、違うんですね。

何ができるの?

セノーテはダイビングやスノーケリングなどのアクティビティが人気。
またケーブダイビングという、特殊な上級者向けダイビングの世界的メッカでもあります。

詳しくはこちらの記事にまとめています
メキシコのダイビングで人気のセノーテ16選を現地ダイバーが詳しく解説【完全版】

まとめ

どうでしたか?
相当詳しく解説してしまいました...
ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。

セノーテは日本では「光のカーテンが見れる綺麗な水溜まり」くらいの紹介しかされてませんが、実は地理的にも文化的にも非常に歴史ある・価値ある場所です。

ぜひ一度訪れてみてください、そしてその歴史を自分の目で見て実感してください。

きっと、忘れかけていた地球の凄さ、自然の雄大さを心から実感できる事でしょう。

 

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